執筆:2021-11-06
※この記事は妊娠判定に関する表現があります。
ようやく迎えた1回目の体外受精(凍結融解胚移植)で陽性判定。
何が起きるかわからない一抹の不安と共に、淡々と不妊治療専門クリニックの卒業を控えている。
胎嚢確認
これまで何度このキーワードを目にしただろうか。私は既に妊娠について詳しい。
いくつもの壁が待ち受けていて、毎週刻々と細胞分裂が進んでいくことを理解している。
”胎嚢”という聞きなれない言葉が持つパワーは計り知れない。
お腹に宿った赤ちゃんは、まず自分が育つためのベースキャンプを立て、寝袋を披露してくれる。
胎嚢確認は一番最初に目で確認できる妊娠の状態。
これをこの目で確認するため、妊娠5週目にあたる日に夫と私はクリニックに行った。
内診台までご夫婦ともどうぞ!
一緒に確認しましょう。
この部屋まで入るのは初めてだ!
緊張する…あ、モニタ映った。
さぁ、これが「胎嚢」。
赤ちゃんが育つ袋ですよ。
子宮内の正しい位置についています。
子宮外妊娠も認めません。
数値もhcg-β:3259になりました。安心してください。
(え…この私がそんな順調にいくかね…信じられん。)
胎嚢が認められると、次は心拍を確認する。
心拍が認められた場合、不妊治療専門クリニックは卒業となる。
これらの壁をひとつひとつ乗り越えてやっと妊娠が成立するのだ。
自分たちの治療は、スタート地点に立つまでのことをしただけだと思い知らされる。
ここに至るまでの経緯からしても、自分がスタート地点を越えて笑っているイメージが浮かばない。
心拍確認
妊娠6週5日
待望のクリニック卒業までカウントダウンが始まった。
この日も夫と二人で内診台のモニタを見つめていた。
少し浮かれてダウンロードしたベビーアプリによると、胎芽は頭と身体に分裂し始めている頃だそう。
(モニタの胎嚢と胎芽、なんかモヤがかかってる。
頭と身体?わかりづらいな…)
…まだ心拍が見えませんね。
大きさは気にしなくていいんですが、まだ小さめです。
流産の兆候がゼロでないことを頭においていてください。
(ほら来た…私はこれだよ。一筋縄ではいかないんだから…)
妊娠7週1日
八百万の神々に祈ったりしながら、2回目の心拍確認を待った。
コロナ後の新しい生活様式で在宅勤務が叶ったりして、治療できる人が増えたのだろうか。
最近のクリニックは患者数がすごく多い。
この日も2時間ほど待った。
うーん。
すごく、すごく拡大して一生懸命見ています。
100bpmの心拍がありました。
週数に対してもあまりいい状態ではありません。
引き続き流産の可能性があることをお伝えします。
どちらにしても、今後の処置は産婦人科でお願いすることになるのでご卒業となります。
(先生、おめでとうって言ってくれなかったな。)
どんな状態であれ、私の体内にもうひとつの心拍が確認された。
そしてふわっとしているものの、妊娠という現実がここには在り、産婦人科へ進むことになった。
こんな形でクリニックを去ることになるなんて、理想とかけ離れ過ぎていてかなりしんどい。
時間とお金をたくさんかけて妊娠して、それでもまだ安心できないなんて子どもと縁が無さすぎる。
妊娠継続できてもこの先まで不安が拭えないだろうし、万が一のことがあったら私は立ち直れるのだろうか。
現実はいつも冷たく、心臓をばくばくさせて、私を笑顔にはさせてくれない。
・ホルモン補充
・妊娠判定(心拍確認) ¥63,000
約¥115,000
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