【コラム】長期戦を見据えた治療と休息

執筆:2021-09-10

気づいたら渦の中

自分が不妊治療を受けるなんて。
多くの人がそんな風に思いながら、気が乗らない治療を受けているのではないでしょうか。

ポンポン子どもを増やしていく友人知人の姿に、SNSを見ることを控え、会わない理由を探す。
親戚界隈も似たようなもので、たとえ耳に入らなくても感じる無言の期待や圧力。
必死のネットサーフィンで得た知識で、徹底した栄養管理と苦手な運動をこなす。
身なりと言動に気を付け、家庭の雰囲気を和やかに保ちたい。

そんな風に努力と心労を重ねても、手が届きやしない。

努力は次のステージへ向かったものの、ゴールが見えずに出費ばかりが増えた。
私たちにはもうお金を積むしか手段が無い。
それでも懲りずに病院へ向かう。
長い待ち時間は治療のことを検索し、SNSに愚痴をつぶやく。
ようやく自分の番が来て、血を抜き、股を開き、薬を飲む。
もう一日が終わる。
また一つ歳をとり、どう頑張っても埋められない温度差で夫婦関係はギクシャクする。

あー、なんのために。
何のために機嫌を保ってきたのか。
何のために働いているのか。
何がしたいのか。
子どものための貯金は生まれる前に底を尽きそうだ。

検査して、原因が特定できて、潰して、妊娠。
これは不妊の中でもラッキー例だと思う。
複数の要因を抱え、原因不明のまま妊娠したり、治療を終えたりする人も少なくない。
もしかしたら、もう長い戦いの渦の中へと足を踏み入れているかもしれない。

長期戦を見据えて

不妊治療はオーダーメイドで、時間とお金を投じればそれだけの結果が伴うケースもある。
年齢に限界があっても、いくらかカバーできたりとか。
※保険適用前、2021年時点の自費診療の表現。

さて、我が家はいつまでの期間に、いくら投じられるのか?
望む子どもの人数は?ゴールを何としようか?
こちらの記事にも書いたように、身の丈に合った家族計画と治療計画を考えなければならない。

夫婦間では辛い相談になること間違いなし。
稼ぎや貯蓄について悔やんだり、何かを諦めたりするかもしれない。
また新しい治療オプションが出たり、ちょとでも気持ちが揺らげば、あっさり課金ガチ勢へグラッグラしてしまいかねない。

それほど子どもがいる未来を望んでいて、どうしようもないから。

休息する勇気

ここまで書いたように、気づけば治療が生活の一部に浸食していることもしばしば。
心身共に疲れている状況は、やはり多少なり治療のコンディションにも影響するはず。
そんな場合に、勇気を出して休息すること。
休息がもたらす偉効があると、経験から感じた。

私の場合、望んで治療を休息したことは無いが、検査・病気などで足踏みして治療を休まざるを得なかった場面がある。
逃す1周期が大事過ぎる。子宮が、卵子が、また老けていく。
その時のもどかしさ、必要以上の焦る気持ちは経験する人が多いと思う。
それでも一度スイッチをオフにして、いったん治療のことを置いておくように意識した。
夫婦で好きなことをする、自分の好きなことをすることに徹する。

夜遊び・飲酒・コンサート・アクティビティなど、妊娠したら難しいことを意識的にやる。
大人しか入場できない場所、静かな空間、時間を掛けた遊びは意外にたくさんあるもの。
もしも望む未来が手に入った時を想像してみる。
前向きになれたら、これもまた楽しい。
訪れるそのとき、後悔しないように計画したい。

最終的にどんな結果であれ、振り返った時に不妊治療が夫婦の思い出話にできるくらい、浄化できたなら…未来の自分が今より辛くならないための休息のすすめ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました